京都にも雪は降る

家族で京都に行ったことがある。

冬の寒い日、雪がしんしんと、ではなく、どかどかという効果音が似合いそうなほど大粒の雪が降っていた。朝の京都、しかも大雪だというのであまり人の姿は見えなかった。しずかな住宅街に降り積もる雪。絵になるなあ、と、葉っぱに積もった雪を見つめながら思ったことを覚えている。

金閣寺は雪を戴き、やはり金ピカに建っていた。でもわたしは思うのだけれど金ピカっていうよりは金色っていう感じだよね。そこまでピカピカしてない。落ち着いてる。きっとこれが京都の美なのだ、と、ひとりで納得した。

わたしは金閣寺も好きだけど、銀閣寺のほうがもっと好きだ。侘び寂びという言葉がこんなにしっくりくる建物もそうない。竹林を抜けた先にぽつんと佇んでいる姿は寂しそうではない。ひとりで静かに立って、物思いに耽っている人、という印象を受ける。

三十三間堂にも行った。廊下が尋常じゃない冷たさで、お坊さんは毎日この寒さに耐えているのだと思うと本当に尊敬した。すごい。

自分に似ている仏の姿を見つけられたらなにかあるんだったっけ。なんかそんなことをどこかで見たことがあったような。

薄暗い廊下に整然と並ぶ仏像の表情はどれも少しずつ違い、わたしに似ている仏像は果たしてあるのだろうかと真面目に眺めながら最後まで歩いていったけれども見つけられなかった。三回目はきっと見つけてみせる。

京都はたくさんの憧れを背負って立っている町、というイメージ。わたしももれなくその一人。美しい、はんなりした謎めいた美女。着物の袂で口もとをそっと押さえ、うふふとしなやかに笑っている人なイメージ。

そんな素敵な京都、大好きだ。